STARLIKE 皇星編

鉄鋼団さま製作のハムスタア育成バトルシミュレーションゲーム。

一見、かわいいハムスターと女の子が織り成すほのぼの系ハートフルストーリーかと思いきや、とんでもない急展開が待ち受けている。
「拳闘士」ならぬ「拳闘鼠」が血肉を削り合う過激なバトルストーリー。

脚本、システム、グラフィック、楽曲いずれもハイクオリティかつ、それらを相乗融合させる演出力が物凄い。
豊富な経験に裏打ちされた実力を感じる。
こんなに熱量の詰った作品を一気にやると凄く贅沢した気分になる。
簡単には語り尽くせないほどの多くの魅力にあふれる本作だが、今回は主人公ハムスタアの星奮(ホシフリ)「臨死応戦(リンシオウセン)」について語りたい。

「スタアライク」と呼ばれる闘技場で戦うハムスタア達は「星」と呼ばれ、それぞれが強力な戦闘スキル「星奮」を所持している。
「強力な一撃を放つ」「攻撃を反射する」など、いかにも必殺技という効果の技が多くを占める中、主人公ハムスタアの星奮「臨死応戦」は異色を放つ。
その効果は「オーバーキルされた分のダメージを反転させて復活する」というもの。
復活する際、攻撃力や防御力などの各ステータスも上昇する。
さながら死にかけから復活したサイヤ人のごとく戦闘力が跳ね上がる。
ギリギリまで粘って敵の星奮を食らい、そこから逆転するという王道バトル漫画のような展開を自らの采配で実演することができるスキル。

この「臨死応戦」の存在はゲームシステムとしてよく出来ていると思う。
よくRPGのボス戦で、「こいつの必殺技をモロに食らったらどれくらいダメージを受けるのだろうか」という好奇心に駆られることがある。
グラフィックや演出に凝っているゲームの場合だと、どんな挙動をするのか見てみたいという動機も重なる。
けれども実力が拮抗しているとそんな余裕はなく、逆に必殺技を食らわないように立ち回ることになる。
多くの場合、強力な技には事前告知や予備動作があって何らかの対処をすることになるのだが、防御や回避で攻撃を軽減する場合がほとんど。
または発動自体を阻止するパターン。
それはそれで戦略を考える楽しみにつながるのだが、なにかそれだと勿体ないというか、「モーションやセリフなどを全部堪能した上で勝利したい」という願望が満たされない。
わざわざ演出を見るためだけにリトライ前提で挑むのは手間だし興が冷める。

そういうことを踏まえると「臨死応戦」は戦闘を盛り上げる要素として非常に良く機能している。
効果を最大限発揮するためには「瀕死状態でなるべく大ダメージを食らう」ことが前提となるので、「敵の全力を堪能した上での逆転勝利」を必然的に実演することになる。
そのためにはどう立ち回ればよいか思考することになり、それが上手く決まったときの高揚感は本当に素晴らしい。
「逃げずに立ち向かう」「生きるために戦う」というキャラクター性とも合致しており、星奮の発動で会場のボルテージも高まり、プレイヤーは自らの手でこの展開を作りだしたという感覚になる。
まさに心を奮わせてくれる瞬間である。

本作は現在、鉄鋼団さまのHPにて第1話~第6話までが第一部「皇星(スメラボシ)編」としてフリー公開されている。
また、続編となる「星奉(ホシマツリ)編」を鋭意製作中とのことで公開が待ち遠しい。

ちなみに主人公ハムスタアの名前は何も考えず「ハムオ」にした。
素朴な主人公の性格的にもぴったりだったと思う。
物語を読み進めながら、心の中で何度「ハムオ!!!」と叫んだことか。
私もスタアライクの熱気に飲まれたのかもしれない。

魔法百撰


Staraさん作の緻密思考型シミュレーションゲーム。

全百種類に及ぶ魔法を駆使して主人公を取り巻く「死」を全て倒すことが目的。
魔法は最初から全て提示されているが未識別かつ未取得の状態のため、魔力を消費して識別や取得をする必要がある。
DL先:Vector
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